SAM/SLO ツールの実装を提供しているベンダーが、運用に必要となるライセンス契約書およびライセンス使用許諾条件を発注情報から適切なライセンス使用権および使用許諾条件と紐づけてシステムに登録し、実際の運用環境のインベントリを識別して運用環境へのライセンス割当を実行しベースラインを構築することができるかは、当該実装担当ベンダーのケイパビリティをしっかりと見極め、実装スコープの定義において詳細を詰める必要がある。
多くの場合、管理ツールにおける「ベースラインの構築」は、ユーザー責任分野と定義されていることが多く、実際には、ベースラインの構築が最も高い当該ライセンスのベンダーマネージャのケイパビリティが要求されることから、管理ツールが実装されたはよいが、運用が開始できない、ということになりやすい。
分かりやすく言い換えれば、会計システムを導入するエンジニアは税法を理解する税理士・公認会計士ではないので、会計システムのことは理解していても、実際に経理データをどのように入力し、貸借対照表や損益計算書を作成するのかは理解していない、と同様に、ITAM/SAM の業務プロセスおよびライセンス契約と使用許諾条件を理解していない管理ツール導入エンジニアは、ソフトウェアライセンスのベースライン構築をするケイパビリティを持っていない。
ハードウェアの利用者(ユーザー)の変更が複数の立場(ロール)から実施できる。
サービスデスクやIT資産管理チームなど複数の立場(ロール)からシステムへアクセスする際に、必要な人に、必要なデーターの範囲への更新権限を与えることができる。
変更申請の正規手続により正台帳情報が更新されず、インベントリ情報から不整合が発覚した場合アラートとして是正を喚起する。
変更申請が無く、現場で変更が行われた場合は、未許可の変更が環境に導入される。このような変更はインベントリ情報に現れ、正台帳との相違としてアラートが発行されるべきである。また、このようなアラートをもとに是正措置が担当者に促され、是正し、整合性を維持することができる。
契約終了、更新日などアクションが求められる日にちが管理され、アクションのリードタイムを設定し60日、90日前に必要となる担当者に分かりやすくアラートを発行して対応を促す。
契約書などの情報を管理する上で、終了日や更新日などへの対応アクションが想定される。これらのアクションが必要とするリードタイムを設定して、対象日から逆算し60日前、90日前などのタイミングで必要とする担当者にアクションを促す機能をもっている。
資産レコードの項目で資産のライフサイクル上のステータスが管理できる。
ライフサイクル上のステータスは、例えば、受領待ち、キッティング中、ユーザー出荷済み、稼働中、メーカー修理中、遊休保管中、廃棄済、など、ステータスによりアクションが求められるものや、遊休資産など再配置の対象となる資産を特定できる。
さまざまな立場から担当する範囲の資産の状態が把握できるようなビューが提供できる。
ダッシュボードのようなハイレベルのビューは、資産の保有状態やコンプライアンス順守の%などを示し、ドリルダウンすることで、より詳細で具体的な資産名やソフトウェアメーカー毎、ソフトウェア製品毎の所有ライセンス契約およびライセンス数量や、消費数、割り当て可能なライセンス数などの詳細情報まで画面で確認することが可能である。これらの情報は、アクセスする立場に対して与えられたアクセス権限などにより取得可能な情報のレベルや範囲が異なる。例えば、ヘルプデスクの要員は保守契約書の条件としての対象範囲の情報へはアクセスできるが、契約金額へはアクセスできない、など。あるいは、事業部門は、当該事業部門を構成する組織の情報にだけアクセスできる、など。
ライセンス年次補正に対応する担当者が各事業部門ごとに現在消費しているライセンスおよびこれまでの履歴からトレンドを把握することができる。
MS、Adobe、Oracle、SAP などの契約の状態にもよるが、年次補正作業が求められる場合において、年次補正を担当する要員が必要となる当該ソフトウェアメーカー毎の所有ライセンス契約および使用中のライセンス一覧から、過去のライセンス契約やライセンスの消費動向などの情報へアクセスできる。
IT資産管理に関係するステークホルダー毎に必要となる情報へのアクセスと更新権限を提供する画面の設定が可能である。
例えば、IT資産管理チームが発注情報を調達から取得し、発注情報をシステムに取り込み、資産レコード生成の処理を行う。生成された資産レコードには、論理識別子が割り当てられるが、未だ実際に納品される個体との紐付は行われていない。納品が行われる先のキッティング・チームが、納品物を荷姿で受領した後、開梱、電源投入など行い、個体識別子と論理識別子をシステム上で紐づける作業を行う。
IT資産管理で必要となるインシデント、問題、変更(リリース・展開)管理のプロセスを、既存のITSMシステムとIT資産管理システムが連携して効率的な運用を支援できるよう、業務システム間連携をサポートするWebサービスやCMDBf に対応している。
JIS X 0164-1 で言及されているようにSAMプロセスにはインシデント、問題、変更管理プロセスが含まれる。しかし、これは既にJIS Q 20000(ITサービス管理)の管理プロセスであるため、管理システムとしてはサービスデスクといわれる統合IT管理システムにおいて既に管理されている。これらを考慮し、独立分断する2つのマネジメントシステムを構築してしまうことが無いように、ITSMシステムとの整合および連携を考慮し、イネーブリング技術としては2つのシステムの連携をWebサービス(SOAP)やCMDBf(DMTFのXMLオープンスタンダード)に対応しているツールが望ましい。
取得プロセス、サービス管理における「要求実現」の自動化を支援するサービス・カタログを提供している。
JIS X 0164-1 の取得プロセスおよび JIX Q 20000(ITSM)におけるインシデント管理の「要求実現」という、ユーザーによるリクエスト(資産の申請)を管理する自動化の方法論としてITIL ではサービス・カタログという概念を提示している。将来的に資産リクエストを自動処理するサービス・カタログの提供を考慮していることが望ましい。