IT資産管理ナレッジ - トレンド記事

Oracle監査請求額が100倍に!?ウソ!?ホント!?

仮想環境で使用不可能なOracle スタンダード版
典型的な100倍請求の原因は、「スタンダード版をVMWare で構成した仮想環境で運用している」というケースです。そもそも、スタンダード版は、さまざまな制限があります。スタンダード版を運用可能な物理サーバーのスペックは、2ソケット(2CPU最大搭載)のサーバーです。そして、仮想環境は一切認められていません。Oracleは、ソフトパーティショニング技術(Soft Partitioning )を、ライセンス消費を左右するテクノロジーとして一切認めないという文書も発行しています。ただし、契約書中には明文化されていません。しかし、Oracle社の監査では、スタンダード版が2CPU以上の物理サーバー上や、仮想環境で運用されている場合は、すべてエンタープライズ版を買い直さなければなりません。
さて、以下の単純なシナリオで考えてみましょう。

スタンダード版2ライセンスを、2CPU に割り当てて運用しているつもりでした。
ところがスタンダード版を運用している物理サーバーには4CPU搭載されていました。
さらに、環境はすでにVMWare6.0 で仮想化されていました。

購入したスタンダード版をStandard Edition ONE (SEO)と仮定し、約70万円+サポートを支払っているとします。2ライセンスですので×2 で、140万円+サポート(約22%)。
スタンダード版は、1CPUに対して1ライセンスを消費します。
エンタープライズ版は、1コアに対して1ライセンスを消費します。
使用しているCPUは、クアッドコア(4コア)とします。
エンタープライズ版は、570万円+サポートとします。単純にライセンス価格だけでSEOの約8倍。
さらに、4コアのCPUであれば×4で、32倍。
そしてクラスタ構成が4CPU ×5サーバーで、20CPU を32倍すると、640倍。
ところが、VMWare 6.0 は、複数クラスタを構成する、複数vCenter をまたいでインスタンスが移動可能なことから、対象はすべてのCPU となります。御社のCPU数×32倍で考えてみてください。

簡単に数百倍に膨れ上がる監査請求額
「スタンダード版の制限をよく理解できていなかった・・・」
原因は、「プロジェクト―調達―VMO:ベンダーマネージャ―インフラ―Oracle技術者―運用」という組織横断の取り組みやプロセス、契約における責任の所在や役割が「あいまい」なことです。
Oracle監査に苦しむ多くの組織で、契約におけるライセンスの条件や制限を理解し、運用環境でライセンスコンプライアンスをコントロールする仕組みが「欠落」しています。
「契約」を交渉するためには、契約条件を正確に理解し、自社の運用環境におけるライセンス運用の実態を把握しなければなりません。

「どのような契約をしたのか、運用現場では具体的に理解できていません」
「どのようなライセンスに仮想環境における制限があるのか、仮想環境の運用者には理解できていません」
このような状況では、監査請求の妥当性検証ができるわけもありません。

複雑化した今日の環境では、契約で与えられた条件や制限を適用してライセンスをコントロールするケイパビリティが求められます。そして、それは組織横断的に取り組まれなければならないのです。
そのためには、まずは「Oracleライセンスたな卸し」(契約、Ordering Document (発注情報)のたな卸し、運用インスタンスのインベントリたな卸し)の実施が必要です。
そして、たな卸しした結果を分析し、コンプライアンスと運用計画を見直し、運用環境の是正をし、契約の継続的改善を実施することが大切です。

いつ取り組みを開始するべきでしょうか?「今です!」

ベンダーマネージャの社内育成とアウトソーシング
グローバル市場では、特定のベンダーに特化したベンダーマネージャのアウトソーシングサービスやコンサルテーションなどが多数存在しています。特にOracle社の契約は複雑で、専門的知識が要求されますので、この分野の専門コンサルティング会社の増加が顕著です。しかし、サービスの品質はまちまちですので注意も必要です。

PAGE TOP