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Oracle ライセンス監査の実態!?

Oracle ライセンス監査で要求されるデータ
① 契約、購買情報
② インスタンスが稼働する物理サーバー情報
③ Oracle DB インスタンスで実行するスクリプト出力
④ vCenter による仮想環境の情報
⑤ その他(システム概要、対象ユーザー、連携システムなど)

LMS(License Management Service)/GLAS(Global License Advisory Service)監査チームにより監査において要求される情報は、前述のとおりですが、分かりにくいのは ③ の「Oracle DB インスタンスで実行するスクリプト出力」で、何がどこまで監査されるのか、というポイントがあげられます。
簡単にまとめると以下のような情報が出力されます。

① Oracle DB のエディション情報(SE/ EE)を含むインストールソフトウェアの情報
② Oracle DB の使用オプション情報
(オプションを構成する機能ごとの使用開始日、使用回数を含む)
③ インスタンスが稼働中の物理サーバーのモデルや使用CPU数、物理サーバーではなく仮想環境で稼働しているという情報

これらの情報をユーザーからの提供により、LMSチームはデータ分析を実施し、監査報告書をまとめます。監査報告書のポイントを以下にまとめます。

SE を割り当てているインスタンスが、SEの2ソケット以下(SEOne、SE2 の場合)の物理サーバーで稼働しているかどうか。

SE を割り当てているインスタンスが、オプションを使用してないかどうか。
※オプションは使用不可です。オプションを使用しているとEE+オプションで請求されます。
通常オプションはインストールされませんが、トラブルシューティングでマネジメントパックをインストールすると、すべてのオプションがインストールされてしまいます。オプションを使用すると記録が残り、使用開始日、使用回数などがスクリプトの実行出力として監査チームに渡ります。

SE を割り当てているインスタンスが、vCenter 下の管理VMになっていないかどうか。
※vCenter など Soft Partitioning は、ライセンス消費を制限する技術としてOracleは認めていません。vCenter で管理しているすべてのCPUでSEライセンスを割り当てなければなりません。ただし、2ソケット以下の物理サーバーで構成されている場合。
それ以外は、すべてEEでCPUコア総数にライセンスが求められます。

EE を割り当てているインスタンスが、オプションを使用していないかどうか。
※オプションはすべてインストールされており、使用が可能な状態です。
しかし、購入していないオプションもすべてインストールされ、使用が可能になっているため、購入していないオプションを使用してしまうケースが多発しています。

EE を割り当てているインスタンスが、vCenter 下の管理VM になっていないかどうか。
※vCenter の環境では、同一ネットワークセグメントすべての vCenter 下にある管理対象サーバーのCPUコア総数にEEをライセンスする必要があります。

EE が vCenter 下で使用されている場合のオプションの利用は、vCenter 下の管理対象CPUコア総数にEEおよび使用しているオプションのすべてをライセンスしているかどうか。

対象環境において使用されているライセンスに関係する契約数

共有ストレージと接続している物理サーバー

一般的には、これらの監査項目を前述のすべての情報を用いて最大のライセンス違反の可能性として評価するのがLMS監査報告書と言えます。LMS監査チームは、監査報告書とともにOracle社のライセンス使用許諾条件の解釈を解説しますが、あくまで、解釈を説明するにとどまっており、ユーザーの解釈とのすり合わせはしません。また、他社の監査チームが過去には監査請求などまで実施していたのとは異なり、監査結果に基づいた監査請求の見積もりや交渉などは行いません。監査請求の見積もりや交渉はOracle社の担当営業が行います。

このように監査プロセスは分業化されており、データ取得/顧客説明チーム、データ分析チーム、交渉(営業)チームの分業体制で効率的に監査プロセスを実施しています。これらの状況から、今日の「ライセンス監査」は、営業活動に直結した活動であることは明らかと言えます。そもそも1990年代に言われていたのは、「経済が悪化すると、ライセンス監査が増加する」でした。2010年代に入ってからは、多くのソフトウェアベンダーで「ライセンス監査活動は最も効率の良い営業活動である」との認識が高まったことから、「ライセンス監査」を実施するベンダーは増加する傾向にあります。そして、その活動プロセスは効率的な営業プロセスへと進化しているのです。

ライセンス監査、ULA(包括契約)交渉への備え
「Oracle DBライセンスたな卸し分析」は、スクリプトを使用して、LMSが使用するデータとまったく同じデータを取得します。LMSが使用するデータを使用することで、監査が入る前に正確なライセンスポジションを把握し、プロアクティブに是正すべき点は是正し、ベースラインを正しくコントロールすることを可能とし、監査や契約交渉で不可欠となる「情報力」を獲得し、交渉を可能とします。自らのライセンスポジションの理解やコントロールなしに監査へ臨めば、主導権は著作権者へ渡り、交渉のパワーバランスは著作権者の圧倒的な優位からの交渉となります。その場合は、ユーザーにとっては「交渉にならない」という状況になることは火を見るよりも明らかです。
「交渉力」は、「情報力」です。まずは、自らプロアクティブにライセンスポジションを把握し、プロアクティブな是正に取り組み、正確なベースライン情報をもって交渉の準備を怠らないようにしましょう。

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